2018年5月24日木曜日

あかちゃんのアレルギー。

最近、お子さんの食物アレルギーのお話を伺う機会がいくつかありましたので、今日は乳幼児の食物アレルギーに関してのお話を少し書こうと思います。

食物アレルギーというのは、特定の食べ物により、じんましん、下痢、嘔吐などのアレルギー反応を起こす病気のことです。3歳くらいまでは消化機能が未熟で、食べ物が十分に消化されずに消化不足の食べ物を異物とみなすことでアレルギーが起こりやすいといわれています。

また、その症状があらわれるまでの時間の長さにより「即時型」と「非即時型」というものに分けられます。

アレルゲンを摂取して数分から2時間以内に症状があらわれるものを「即時型」。

2時間以上、場合によっては1~2日後に症状が出る「非即時型」。

乳幼児期、学童期に発症する食物アレルギーに多いのは前者の「即時型」で、5~20分の間にあらわれることが多く、症状は軽い場合もありますが全身じんましんや喘息症状など重症になる場合もあります。

即時型のアレルギー症状が皮膚症状にとどまらず、呼吸器や消化器などの複数の臓器に急激にあらわれることを「アナフィラキシー」といい、血圧低下や意識障害を伴う症状に「アナフィラキシーショック」というものがあります。このような状態は生命の危険を伴う場合があるため、呼吸困難やめまいの症状があればすぐに救急車を呼びましょう。

近年のデータによると、0歳児で最も多いアレルギーの原因食物は鶏卵で、実に60%以上を占めます。次いで乳製品(20%)、小麦(7%)となります。この順位は3歳ころまで変わりませんが、乳幼児期に発症した食物アレルギーの場合、多くは成長とともに耐性を獲得することができます。

これらの食物について、3歳までに約50%、小学校入学までに80~90%のお子さんが耐性を獲得し食物除去が解除され食べられるようになるといわれています。

離乳食が始まったら、簡単で良いので食事記録をつけて(特に初めて食べる食材は意識して)何を食べたのか、皮膚の様子に変化はないか、うんちの状態や日常生活の様子はどうだったかをわかるようにしておくと安心です。

そして、アレルギーかな?と思っても自己判断により特定の食物を除去することはやめましょう。あかちゃんに必要な栄養が十分にとれなくなる恐れがあります。食物アレルギーは、あくまで正しい判断に基づいた必要最小限の原因食物の除去が原則です。主治医の判断のもと、原因物質が特定できたら指示に従って食物除去をすすめていきましょう。

また、離乳食をすすめる中で、アレルギーを必要以上に心配して自己判断で特定の食材の摂取を遅らせたり除去するようなことも避けましょう。月齢にあった食材を、月齢にあった調理法で食べさせてあげてくださいね。乳幼児期は成長が著しい大切な時期ということを忘れずに、楽しい離乳食生活を送ってほしいと思います!

2018年5月23日水曜日

手づかみ応援メニュー。

早いもので5月も残すところあと1週間ほどになりました。6月に入ると気分は梅雨。そして一年の半分が終わってしまう…と感じるころ。時間が経つのはあっという間なので、一日、一日を大切に過ごしていきたいなと思います。

先日、完了期の離乳食教室を行いました。5組全てのママと赤ちゃんがリピーターさん♪というわけで、すくすくと元気に成長したあかちゃんたちに会えて、とってもとっても嬉しかったです!!

今回は9ヶ月前後のあかちゃんが中心でした。そろそろ手づかみ食べをさせたい…手づかみ食べのメニューが知りたい…というお話が多く聞かれました。

3月の完了期のときに紹介した本日の離乳食レシピ。こちらの鉄分補給メニューからのアレンジで、今回はごはんを使ったおやきも試食していただきました。


前回の教室でじゃがいもに混ぜたものとほとんど同じですが、さらに材料がシンプル。包丁も使いません。

柔らかく炊いたご飯(軟飯…だいたい、お米1に対して水が2~3くらい)一食分(完了期・12ヶ月くらいの目安量)90gにしらすが20gくらいと、青のり少々。それをよくまぜてぎゅっと手でつぶすようにしながら小さく丸め、植物油少々をひいたフライパンで焼きます。(写真はおよそ1/3量)

ぎゅっとにぎって、さらに少しだけ表面を焼くことで、柔らかいご飯もまとまりやすくなり手にとって食べやすくなります。あまり焼きすぎると固くなってしまうので、ほんのり薄く焼き目がつく程度がいいと思います。

今回の教室では、この一口サイズの大きさと、もう少し大きめの「二口」サイズのものを用意しました。上下の前歯が生えてきたら、「かじりとり」の練習もしたいので、パクパクと一口で食べられるサイズだけでなく、少し大きめのサイズのものも用意してあげるとよいでしょう。

あかちゃんの「やりたい!」が増えてきて、なかなかママの思うように食事が進まない時期に入ってくるとは思いますが、「自分で食べる力」を育む大切な時期です。ゆったり、赤ちゃんとママのペースで進めていってほしいと思います。

2018年5月10日木曜日

プレコンセプションケア。

記録的に暑い日だったり、寒い日だったりが代わる代わるやってきて、なんだかどうしてよいのかわからない日々ではありませんか。体の調子を保つのに精いっぱいな気がする今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

先日の生命のサイクルの続きです。

低出生体重児が発症リスクの高くなる疾患がいくつかあるというお話をしたのですが、ここをもう少し掘り下げると、こんなことも危惧されているようです。

それは、初経・閉経年齢との関連性です。

小さく生まれて大きく育った場合に、初経年齢が早くなる傾向があり、その後の閉経年齢も早期化するそうです。閉経後は、ご存知の方も多いようにエストロゲンが減少し、骨粗しょう症や脂質異常症(LDLコレステロールや中性脂肪が多くなりすぎたりする状態)などの発症リスクが高まります。つまり閉経年齢の早期化イコール、熟年期早期からの健康リスクが高くなるということです。

こうした低出生体重児を減らすために、妊娠前からの若い女性の栄養状態を良好に保つことがとても重要であるということは言うまでもありません。

そこで出てくるのがタイトルのことば「プレコンセプションケア」です。

これは、世界保健機関(WHO)が提唱している言葉です。若い世代の男女がより健康になることで、より健全な妊娠・出産のチャンスを増やし次世代の子どもたちをより健康にすることを指します。

もともとは、発展途上国での普及を考えるものでしたが、日本の若い女性のやせ問題にも置き換えることができます。

資料によると、東京丸の内周辺で働く女性の調査で、1日の摂取エネルギーが少なく、全体の2~3割がBMI18.5未満のやせ。しかし体脂肪率は高め、つまり筋肉量は少ない不健康なからだの女性が多かったそうです。

正しい知識を身に付けて、単にやせ細ったからだではない健康なからだの若い女性(男性もですが)を増やすために、どんな取り組みができるのか真剣に考えなくてはならない時なのではないかと思います。

(参照:日本栄養士会雑誌4月号)